今回は、4月に創設された、育児時短就業給付金に関するご相談です。
現在、育児休業中の職員がいます。子どもがもうすぐ1歳になることもあり、育児休業から復帰する予定です。復帰後は1日の所定労働時間を8時間から6時間に変更して働くことになっており、給与が少なくなります。
2025年4月にこのような時短就業をした際の給与を補てんする制度が創設されたと聞きました。どのような制度でしょうか?
2025年4月に「育児時短就業給付金」が創設されました。この給付金は、2歳未満の子どもを養育しながら時短就業をする職員の給与が低下したときの補てんとして、時短就業後の給与の10%を限度として給付金が支給される制度です。
2025年4月に仕事と育児の両立を支援するために雇用保険の給付金として「育児時短就業給付金」が新たに創設されました。これは、時短就業をする職員が、時短就業前と比較して給与が低下した場合に、時短就業後の給与の10%を限度として支給される給付金です。
対象は、性別にかかわらず、2歳未満の子どもを養育しながら時短就業をしている職員であり、時短就業をする前に一定期間雇用保険に加入していることが要件の一つになっています。原則、ハローワークへ2ヶ月ごとに申請することで、子どもが2歳に達する日の前日まで支給されます。
育児時短就業給付金の対象となる時短就業とは、育児・介護休業法に基づく短時間勤務制度を利用して所定労働時間を短縮する場合に限りません。例えば、短時間正職員やパートタイマー等に転換したことで、1週間当たりの所定労働時間が短縮された場合も含まれます。
また、短縮する時間も限定されていないため、1日の所定労働時間を30分短縮するケースや、1日の所定労働時間を変更せずに休日を増やすことで、1週間当たりの所定労働時間数を減らすケースも含まれます。
その他、あらかじめ決まった曜日や時間で働く契約ではなく、シフト表によって勤務日や勤務時間が決まる、いわゆる「シフト制」の場合も時短就業に該当する場合があります。シフト制では、職員から時短就業の申出があった前後の実際の勤務時間をもとに、1週間当たりの平均労働時間により時短就業に該当するか否かを判断します。
人材採用が厳しくなっている昨今、人材定着を図り、できるだけ職員が長く勤務できるように工夫している医院もあります。そのために、出産・育児に関する制度を整備し、職員が受けられる給付金についても、周知ともれのない事務手続きを進めていきましょう。
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